刀剣の各時代の特徴
刀剣の刀装具について
刀剣の装身具全体のことを刀装具といい、刀装具を確認することでその刀が存在した時代背景や、持ち主の権力や富の大きさを知ることができます。
装身具全体の形式のことを拵えといい、その着用方法により、太刀拵えと打ち刀拵えの2種類が存在します。
一般に太刀拵えのほうが細工がふんだんに盛り込まれた豪華な作りとなっていることが多いです。
刀剣と刀身の間にあって、握る手を防護する役目のある部分のことを鍔といい、これにも太刀用の鍔と打ち刀用の鍔に分かれており、前者のほうが豪華な作りがなされていました。
桃山時代以降はもっぱら打ち刀鍔が多く用いられていましたが、江戸時代中期以降は彫金技法が発達したため打ち刀鍔にも多く細工が用いられ、形式や流派が多く生まれさまざまな名称がつけられました。
刀装具には各種金属が材料に用いられていることが多いですが、持ち主の社会的地位によって違いがあり、儀式用や上層部の武家の刀剣には、金・銀・鍍金が多く使われる傾向にあり、実用刀には鉄や銅が多く錆止めのために漆塗にされることが多くありました。
数々の戦闘を経て進化した刀剣
日本刀は戦闘の中で進化してきた刀剣だといわれますが、それはどうしてかご存知でしょうか。
縄文時代や弥生時代の古墳から出土する埴輪が持っている太刀はもちろん、西暦797年の坂上田村麻呂が佩刀していた太刀はまだ直刀というまっすぐな形をした刀でした。
ところが西暦1051年ごろになってくると、当時の合戦絵巻に残っている武士が全員が反りのある太刀を帯びるようになっています。
このような違いが生じるのは、徴兵制を強いていた古代と異なり、中世以降は武士が台頭してきたためです。
徴兵した多数の兵の統制をとる必要があるために古代の戦闘は歩兵戦が中心となりますが、武士という専門の先頭集団による戦いはより高度な戦術が必要なため、騎馬戦をもっぱら用いることが多かったです。
そうなると騎馬戦というスピードの伴う戦いの中では、敵に与える攻撃力と自分の衝撃を緩和するという要素が重要となってきます。
それら2つの要素を兼ね備えたものが、反りを持った湾刀で、相手を切ると同時に衝撃を外側に逃がす効果を持っていました。
このような例は世界的に珍しく、日本刀は刀剣の中で唯一進化してきた刀剣だということができます。